便潜血陰性でもある大腸癌 巨大ポリープの内視鏡切除

最終更新: 6月16日

随分、昔の話です。

外来に、大腸内視鏡検査を目的として受診された男性がいました。

40歳位、体格が良く、膨よかな方でした。

その方は、腹痛や便秘などの自覚症状は何もなく、健康診断で受けた便潜血反応も陰性。

唯一、お父様が大腸癌でお亡くなりになったという、家族歴がありました。

「折角だから念の為、遣ってみましょうか。」とお話すると、「ま~、そうしますか。」と、乗り気ではないものの、検査の日取りが纏りました。



検査当日、「まあ、何も無いだろう。」と思いながら始めました。

しかし、開始早々、視界を塞ぐように、腸管の隙間がないほど大きな腫瘍が、S字状結腸にドンとあります。

普通、小さなポリープは、内視鏡からワイヤーを出した後、ワイヤーの輪の中に鉗子を通すようにしながら、鉗子でポリープを摘み、ワイヤーをポリープの根本で絞り込み、電流を流して焼灼切除行います。

余りにも大きなポリープは、そのサイズがゆえ、ワイヤーをポリープの根本へ回すことが出来ません。

その当時、これ程大きなポリープは、外科的に開腹手術して取り出すのが常套手段。

どうしたものかと思案した結果、部分的に少しずつ切り取ってみようと考えました。

腸管に触れないよう注意を払いながら、大きなポリープの一部にワイヤーを掛けます。

「エイ、南無三!」と念じながら電流のスイッチを入れると、焼けたときに出る煙で、視界は雲の中のように、一面真っ白。

煙が少し収まるまで待つと、ポリープの切れた断面がはっきりと見えてきました。

大きな出血はなく、先ずは一安心。

もう一度、別の場所へワイヤーを掛け、同じ作業を繰り返すこと5回。

漸く、巨大な腫瘍はバラバラの断片となり、腸管の向こうを見渡すことが出来る状況になりました。



ポリープの断片は、自然排泄を待って、病理組織検査へ。

結果を待つこと1週間。

表面の一部に、癌があると診断されました。

幸いなことに、癌は粘膜内に留まっており、ほっと胸を撫で下ろしました。



便潜血反応がなくとも、何もないとは限らない。

この場合、大腸内視鏡検査を受けて戴き、本当に良かったと思っています。


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