睡眠障害は心身ともにダメージ 生活習慣の改善が大切

最終更新: 6月16日


仕事に振り回される日が続くと、ストレスで夜も十分に眠れません。

こうなると、身体が怠い、重い、ボーとして集中力が無くなる。

睡眠は体調を左右する要です。


以前、外来に受診された40歳の男性。

健康診断で、高血圧、高脂血症、糖尿病予備軍などの診断を受けたようです。

体格は立派な方。

酒は良くお飲みになるので、当然、飲酒と食事制限、軽度の運動が指導されています。

「良く眠れますか?」

私は必ず、問診で尋ねる事にしています。

「酒を飲んだら、良く寝られるんですよ。」

とのご返事。

「夜中、目が覚めませんか?」

「トイレに、何回か起きますね。」

「朝起きた時、身体が怠く、何となくきつくないですか?」

「あー、そうですね。」

「夜中、寝ている時、イビキが酷かったり、息が止まっていると言われたことはないですか?」

「確かに、イビキは酷いと言われます。」


睡眠時無呼吸症候群の可能性を考えて、

「誰か寝ているところを観察して貰える人がいたら、確認して貰って下さい。」

と、診断基準が書かれた紙を渡しました。


睡眠時無呼吸症候群

診断基準

以下の診断基準Aか、診断基準BとCをみたすもの

A:日中傾眠があり、他の要因により説明できないもの

B:下記の内2つ以上の項目に該当するもの

 ○睡眠中の窒息感やあえぎ

 ○睡眠中の頻回の完全覚醒

 ○熟睡感の欠如

 ○日中の倦怠感

 ○集中力の欠如

C:終夜睡眠ポリグラフで睡眠1時間あたり5回以上の閉塞型無呼吸イベントがある。

閉塞型無呼吸イベントには、1)呼吸の一過性の減弱、あるいは完全な消失と2)呼吸努力関連覚醒反応が含まれる。10秒間以上の無呼吸が一晩7時間の睡眠中に30回以上、もしくは睡眠中1時間の平均で5回以上あれば、この病気と診断される。睡眠時無呼吸症候群の病名は、睡眠時の無呼吸という機能の面からみた場合の疾患群であり、下顎や上気道の形態異常や粘液水腫(甲状腺機能低下症による全身のむくみ)などの内分泌疾患も含まれています。


どなたか観察して貰える人がいれば、

「睡眠中1時間に5回以上の無呼吸があるかどうか」

を確認して貰うのが良いかも知れません。

「日中に、気付いていたら寝ていた」なんてことがあれば、絶対、睡眠時無呼吸症候群の治療が必要です。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)が原因で、血圧が上がったり、血糖値が上がったり、生活習慣病と称されている様々な病気の要因になります。


その後、睡眠時無呼吸症候群の専門外来へご紹介致しました。

睡眠の改善とともに、体調が良くなり、毎日お仕事に集中出来るようになったとのお話です。


睡眠時無呼吸症候群は、就眠中に反復する短い意識覚醒のため、脳の不眠を起こします。

このため、睡眠の質が低くなり、昼間に傾眠傾向となるのです。

睡眠時無呼吸症候群は不眠をきたす原因の一つですが、今回は広い意味での不眠症について少し述べてみたいと思います。



睡眠は、身体にとって成長ホルモン分泌促進・骨髄での造血促進・全身の細胞の新陳代謝促進に関与しており、脳にとっては、情報の整理や記憶の定着に必要不可欠なものです。

睡眠不足は、精神的にも身体的にもダメージをもたらします。

睡眠剥奪や睡眠妨害など、眠らせないようにする拷問の手段もあるようです。


睡眠と覚醒のバランスが悪い状態を不眠と言いますが、その原因は様々です。

ストレスや欝などの精神疾患、睡眠習慣の問題や睡眠リズムの乱れ、生活習慣病や色々な基礎疾患、更に薬やアルコールなど、沢山の原因が考えられます。


日本人の平均睡眠時間は7時間42分。

男性は7時間49分、女性は7時間36分だそうです。

年齢とともに睡眠時間は減少し、45歳で6時間36分、65歳では平均6時間、更に歳を重ねると共に少なくなって行きます。


良く知られているように、睡眠にはレム睡眠・ノンレム睡眠があります。

左右に眼球が動く、急速眼球運動がみられることから Rapid Eye Movements の頭文字をとって、レム睡眠と呼んでいます。

レム睡眠は、身体は休んでいるが脳は活動している状態にあり、夢をみている状況の時。

ノンレム睡眠は、深い眠りに入っている時で、記憶強化の時期であると考えられています。

平均して一晩で、レム期ノンレム期を3回から5回繰り返し、レム期ノンレム期のワンセットは70分から110分程だそうです。

ノンレム睡眠は前半に多く出現し、最初の3時間が深い眠りの8割から9割を占めています。

レム睡眠は睡眠の後半に多く出現します。

年齢とともにノンレム睡眠の占める割合が減ってきますが、中途覚醒が多くなるためと考えられます。


不眠のタイプとして、入眠障害・中途覚醒・熟眠障害・早朝覚醒などがありますが、入眠障害の頻度は年齢による差がみられませんが、中途覚醒や早朝覚醒の頻度は年齢に伴い上昇します。


不眠症対策は、生活習慣の理解が基礎になります。

睡眠を改善するための生活習慣として、起床時間を一定に保つことが大切です。

早く寝るというより、早起きから始めます。

朝は太陽光に当たり、日中は適度な運動が必要です。

就寝4時間以内に、カフェイン・喫煙は避け、熱湯ではなく温湯に入浴し、寝酒は止めましょう。

寝るときは、光や音などの刺激はないように配慮することも大切です。


それでも不眠が続く場合は、治療が必要です。

薬を使わない方法としては、認知行動療法があります。

カウンセリングにより、睡眠の考え方や行動パターンを見直し、不眠を改善して行く方法です。

これは、カウンセリングを行っている精神科で受けることが出来ます。


多くの場合、投薬治療が必要となります。

現在、大別して主に3種類の睡眠薬が利用されています。

薬剤が登場してきた順番から述べると、GABA(ガンマアミノ酪酸)受容体作動薬・メラトニン受容体作動薬・オレキシン受容体拮抗薬です。

GABA受容体作動薬は、抑制的に作用する神経伝達物質GABAの働きを促し、脳全体を鎮静させます。

薬の構造から、ベンゾジアゼピン系薬剤と非ベンゾジアゼピン系薬剤があります。

メラトニン受容体作動薬は、体内時計の調節に作用し、睡眠と覚醒のリズムを整えます。

オレキシン受容体拮抗薬は、覚醒を維持するオレキシンという脳内物質の働きを抑制します。


なかでも、ベンゾジアゼピン系薬剤は、効果が期待でき、他の抗精神病薬と比べ安全性が高いので、昔から広く処方されています。

確実な効果が期待出来るものの、長期の使用で薬剤依存を起こし易いため、余り長く服用するのはお勧め出来ません。

また、急に止めようとすると様々な離脱症状に悩まされることも稀ではありません。

若し、ベンゾジアゼピン系薬剤を使用しなければならない場合は、2週間以内に留めるようにした方が良いと考えられています。


メラトニン受容体作動薬やオレキシン受容体拮抗薬は、比較的最近登場した薬剤です。

ベンゾジアゼピン系薬剤と比べ効果は劣りますが、薬剤依存や離脱症状が起こらない薬剤なので、安全性の面では優れていると言えます。


不眠がある場合、取り敢えず、生活習慣の見直しから始めてみましょう。


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