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世の中トラブルの巣窟 現実は小説より奇



人は感情の動物です。

患者様の中にも、「私今、裁判を四つ抱えています。」とおっしゃる方もいます。

ご本人がトラブルメーカーではなく、相手の方から次々裁判を起こされると言うことです。



昔、実家の建築で、隣人から訴えられたことがあります。

無論、建築基準に沿って設計されたものですが、隣人にとっては迷惑千万。

「自分の家から見える空を取るな。遣り直せ。」との訴えでした。

裁判所は和解を薦めます。

結局、当初の計画から少し削って合意。

それでも、大変ご不満の様子でした。



数年後、私にある患者様から、ご主人の往診を依頼されました。

80歳代の男性でしたが、大きなご病気はなく、定期的に血圧のお薬や湿布薬を処方。

一寸した世間話などして、往診を終了するような状況でした。

ある日、裁判を起こされた隣人から突然、書面の連絡を受けたのです。

驚いて内容を確認すると、往診をしているその男性に対し、物事の判断が不能な認知症であると証明して貰いたいという内容でした。



何と隣人の奥様は、往診先の男性と兄弟。

ご両親の他界で相続した際、隣人は裁判を起こし、相続分を現金で相続。

隣人が住んでいる家は、その昔、ご両親が住んでいた家だそうです。

これを、兄から借家していたのでした。

家の老朽化を理由に、立ち退きをお願いしている最中だったようです。

考えてみれば、私と隣人との経緯を知っていて、ご主人の往診を依頼。

それに気付かず、丁度うまい具合に乗ってきたという筋書きかも知れません。



当然、公正な立場で書面を作成しましたが、隣人はこれが気に入らない。

ある日突然、全く知らない先生からお電話を戴きました。

その電話を要約すれば、高齢者になれば少なからず認知機能に障害が起こるものである。

まあ、それはそうかも知れません。

結果、物事の判断ができない状態であると書面に記すべきである、との内容でした。



全く知らない人から、忠告を受けた私は、当然驚きました。

他人の診断内容に口を挟む事は、あるまじき行為。

全く知らない人へ唐突に忠告の電話など、全く信じられません。

本当に正気かと思いましたが、丁寧にお礼を申し上げ、電話を切りました。



昔から、真実は小説より奇なりと言いますが、「世の中、トラブルの巣窟だなあ。」と、今改めて思います。

無論、私の診断内容を変更することはありませんでした。