標準治療とハイパーサーミアを受けるタイミング

最終更新: 6月15日

癌の標準治療と同時に、ハイパーサーミアを受ける際、そのタイミングはいつが良いのでしょう。

化学療法や放射線治療の前が良いのか、後が良いのか。

いつ受けるべきかと、患者様から良くご質問を受けます。

同時に行う事が出来ればより良いでしょうと申し上げますが、治療を受ける医療機関が違う場合は些か困難です。

実際の診療から感じた自身の意見を交え、少しだけ述べてみたいと思います。


ハイパーサーミアを受けるタイミングについては、標準治療の前後それぞれに違ったメリットがあります。


1:標準治療前

p53蛋白と呼ばれる、がん抑制遺伝子の活性化や耐性化蛋白の半減期を考えると、標準治療を予定している日より前3日の間にハイパーサーミアを行うことで、化学療法や放射線治療の増感作用が期待できます。


2:標準治療当日

放射線治療では、がん細胞を破壊するための活性酸素が必要です。

当日にハイパーサーミアを行った場合、がん細胞の攻撃に必要な酸素分子を供給する作用があると考えられます。

また、化学療法に対しては、薬物の分配システムに対して効果が期待できます。


3:標準治療翌日

放射線治療や白金製剤投与などの化学療法により、がん細胞はDNA損傷を起こします。

がん細胞では、障害を修復するためにDNA修復酵素が働き始める訳ですが、酵素が機能を保つためには、一定の至適温度が必要です。

DNA修復酵素が働いている時、酵素が働く至適温度から外れてくると、上手く機能しなくなり、がん細胞はアポトーシス(プログラムされた自然死)を起こすことになります。


治療の際に最も大切な要素は、患者様の体調だろうと思います。

個体差はあるものの、標準治療には少なからず副作用が出ることを考えなくてはなりません。

抗がん剤の副作用が酷い方は、身動きが出来ないほど全身が重く、何も口に出来ないほど食欲がなくなることがあります。

抗がん剤の種類によっては、全身に皮膚炎を起こし、手足が腫れたり、ヒリヒリする痛みを起こしたり、一日中トイレから出られない程酷い下痢が続くこともあります。

副作用に苦しみながらハイパーサーミアを受ける事自体、心身ともにストレスとなり、治療を続けることが困難でしょう。


化学療法のスケジュールは、抗癌剤の選択や投与法により異なりますが、休薬期間が設けられます。

投薬によって起った酷い副作用も、休薬することにより徐々に改善して行く筈です。

副作用が重い方の場合、ハイパーサーミアを予定するとすれば、抗癌剤投与の直前に行う方がより確実ではないかと思います。


また、副作用が余り現れない方もいらっしゃいます。

そのような方の場合、基本的に週1回の割合でハイパーサーミアを受け、更に化学療法の予定がある時には、投与日になるべく近い日を選択し、予定を組むようにお薦めしています。

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